出来高の高い上位7つのセクターETFを均等に持てばS&P500を上回るの?

FIVE SECTOR PORTFOLIO

前回の記事で出来高の高い上位7つのセレクト・セクターETFを均等保有した場合、S&P500を上回るパフォーマンスになった。けれど、全てのセレクト・セクターETFを均等保有した場合と比較して、11分の11と、11分の7で24%もパフォーマンスが変化するというのがどうにも気にかかる。

気になった点があるのなら検証しないと。

流石に同じ記事名が並びすぎな気がしたので変えてみたけれど、結局続きのお話。

memo

グローバル5.5倍バランスファンド(1年決算型)20221205
基準価額:7,754円 / 前日比(円)+262円 / 前日比(%)+3.5% / 純資産総額80.52億円

日経平均:27,777.90円 / ドル円:134.42円

ダウ平均:34,429.88 / ナスダック総合指数:11,461.50 / S&P500指数:4,071.70

be careful

この記事で書かれている内容はトワナナさんの感想です。間違いがないよう注意を払っておりますが、それでも事実と異なる内容が含まれているかも知れません。また、特定の商品をお勧めする意図などはありません。(詳しくは、免責事項とPrivacyPolicyを参照下さい。)

「そうなんだー」くらいの肩の力を抜いた状態で、たのしんでいただければ幸いです。

diary

前回の記事を読まれていない方はこちら。シリーズ記事を順番に読まれるとトワナナさんと同じ視点で見ていけるけれど、たぶん読まれなくても平気。

まずETFには運用を開始した日時がある。これが合わないと比較期間が異なり結果が大きく違ってしまうのでここから合わせて検証する。

ステート・ストリート社のSPDR S&P500 ETF(ティッカーSPY)は1993年1月22日に運用を開始。

S&P500のセレクト・セクター指数を元にしたETFを均等に保有するSS&Cアルプス・アドバイザーズ社のALPS Equal Sector Weight ETF(ティッカーEQL)は2009年7月7日に運用を開始。(これをセレクト・セクター11件の均等保有の検証に使用するよ。)

ステート・ストリート社のセレクト・セクターETFは、不動産セクターが2015年10月7日。コミュニケーションセクターが2018年6月18日。それ以外は1998年12月16日に運用を開始。

つまり、前回の出来高の高い上位7つのセレクト・セクターETFは全て1998年12月16日から運用を開始しているため、比較期間は1999年から2022年の間。

対するEQLは2010年から2022年が比較期間になる。それなら、出来高の高い上位7つのセレクト・セクターETFもEQLに合わせて2010年から2022年の期間で比較すれば疑念が払拭される。

でん。

この記事で掲載しているスクリーンショット画像はSilicon Cloud Technologies社Portfolio Visualizerの画面をキャプチャしたものです。

SPYとセレクト・セクターETF出来高上位7種とEQLのchart比較

ぎゃあああああああああ!

僅差ではあるけれど、まーけーてーるー!涙。

ううーん。これってどういうことだ。出来高の高い上位7つのセレクト・セクターETFは1999年から2022年までの間、セクター的に有利な期間があって、そのマージンを使えばSPYに勝てたってこと?

だけど2010年から2022年の期間で比較すると、SPYが保有する株の方が有利な期間があると。そういうことかー。ぐう。

有名なコレだね。

SPYとQQQの12年比較chart比較

SPYとInvesco QQQ Trust Series 1(ティッカーQQQ)を2010年から2022年の期間比較した場合、QQQがSPYを圧勝するチャートになる。つまりNASDAQ100がS&P500を上回る。

SPYとQQQの22年比較chart比較

対して、2000年から2022年の期間比較した場合、SPYがQQQを僅差で抜いてしまう。比較期間を切り取ると景色が変わるといわれる代表的なお話。

ProShares S&P 500 Dividend Aristocrats ETF(ティッカーNOBL)もそう。比較期間を長期にすれば上回るといった見せ方は、結局じぶんに都合の良い期間をどれだけ取り込んで比較するかになりがちで。そのあたりはフェアというのも難しいから、「比較期間によって見え方がわかるもの」と正しく理解するしかない。たぶん。

ぷしー。

フリダシじゃないさ!!涙。


仕方ないのでもう一回、前回使った表を持ってくる。それぞれのセクターがランキング上どの位置にいるのかを表したもの。

セクター名称ティッカー基準価格
RANKING
純資産総額
RANKING
出来高
RANKING
コミュニケーション
サービス
XLC9910
一般消費財XLY147
生活必需品XLP776
エネルギーXLE522
金融XLF1161
ヘルスケアXLV215
資本財
サービス
XLI453
情報技術XLK339
素材XLB61011
不動産XLRE10118
公益事業XLU884
セレクト・セクターETF今日のランキング

よし、今度は出来高ではなく、基準価格ランキングと、純資産総額ランキングで組み立ててみよう。

まずは基準価格ランキング上位7種。

1. Consumer Discretionary Select Sector SPDR Fund
2. Health Care Select Sector SPDR Fund
3. Technology Select Sector SPDR Fund
4. Industrial Select Sector SPDR Fund
5. Energy Select Sector SPDR Fund
6. Materials Select Sector SPDR Fund
7. Consumer Staples Select Sector SPDR Fund

1位の一般消費財のみ16%保有し、それ以外は14%のやや均等。

SPYとセレクト・セクターETF基準価格上位7種の23年間chart比較

期間は1999年から2022年の間。この辺りはセレクト・セクター強いよね。

SPYとセレクト・セクターETF基準価格上位7種の12年間chart比較

期間は2010年から2022年の間。かろうじてSPYに勝った?パフォーマンスはちょっと心もとないけれど、数字で目に付くのはWorstYear。SPY▲13.17%に対して▲6.71%と半分近い値になってる。強力なブレーキをかけたセクターがあるみたい。

次は純資産総額ランキング上位7種。

1. Health Care Select Sector SPDR Fund
2. Energy Select Sector SPDR Fund
3. Technology Select Sector SPDR Fund
4. Consumer Discretionary Select Sector SPDR Fund
5. Industrial Select Sector SPDR Fund
6. Financial Select Sector SPDR Fund
7. Consumer Staples Select Sector SPDR Fund

1位のヘルスケアのみ16%保有し、それ以外は14%保有。

SPYとセレクト・セクターETF純資産総額上位7種の23年間chart比較

期間は1999年から2022年の間。ここでもセレクト・セクター強し。

SPYとセレクト・セクターETF純資産総額上位7種の12年間chart比較

期間は2010年から2022年の間。こちらもSPYにわずかに勝利。WorstYearは基準価格ランキングの時と同じくらいで、BestYearがSPYの32.31%に対して34.29%と少し高め。

もしかして基準価格と純資産総額のランキングは銘柄が似ていたような?ええと。

3つのランキングを並べてみるとこう。

名称1位2位3位4位5位6位7位
セクター出来高ランキング金融エネルギー資本財
サービス
公益事業ヘルスケア生活必需品一般消費財
セクター基準価格ランキング一般消費財ヘルスケア情報技術資本財
サービス
エネルギー素材生活必需品
セクター純資産総額ランキングヘルスケアエネルギー情報技術一般消費財資本財
サービス
金融生活必需品
セレクト・セクターETFのランキング毎の組み入れセクター一覧

順位は異なるものの、エネルギー、ヘルスケア、一般消費財、資本財サービス、生活必需品の5つは全てのランキングに入っているから、大分似ている。出来高のランキングには情報技術がなくて、公共事業が入っている。基準価格ランキングには金融がなくて、代わりに素材が入っている。違いはそのくらい。

名称
Final
Balance
Best
Year
Worst
Year
Max.
Draw
down
S&P500の12年$46,68832.31%▲13.17%▲23.93%
S&P500の23年$50,79132.31%▲36.81%▲50.80%
セクター出来高ランキング12年$45,32532.32%▲5.97%▲24.37%
セクター出来高ランキング23年$66,83632.32%▲33.71%▲48.65%
セクター基準価格ランキング12年$49,39832.98%▲6.71%▲23.17%
セクター基準価格ランキング23年$77,72932.98%▲33.50%▲45.53%
セクター純資産総額ランキング12年$50,59934.29%▲6.36%▲23.78%
セクター純資産総額ランキング23年$71,14234.29%▲34.83%▲49.20%
S&P500とセレクト・セクターETFのランキング比較年別パフォーマンス一覧

数字を比較してみると、S&P500に劣後するのは出来高ランキングの12年の期間(2010年から2022年)のみ。基本優秀ではあるみたい。よりにもよって唯一のハズレを引いていたのか・・。

あと、あれ?BestYearがどれも12年と23年で同じ数字になってる。んー?どういう。ああ、つまりこれって1999年から2022年の間で、いちばん上げが高い年が2010年から2022年の間にあった、ということか。ほえー。ミラクル12年だね。

最もパフォーマンスがよいのが基準価格ランキングの23年の期間(1999年から2022年)の比較。よくよく考えてみれば、基準価格はイコールでキャピタルゲインなのだから、基準価格が高いものを多く取り込んでいればパフォーマンスは一番伸びるよね。うん。S&P500に比べて34.65%上のパフォーマンスというのは中々。

純資産ランキングの23年の期間(1999年から2022年)はWorstYearやMaxDrawdownがセレクト・セクターの中では最も数字が悪い。ボラティリティが高い部類になるのかも。うーん。

もしかしたらだけれど、EQLも1999年から2022年で比較すればS&P500に勝てていたのかも知れないような気がしてきた。わからないけれど。

まとめると。

全ての数字がいちばんという訳ではないけれど、23年間の比較ではWorstYearとMaxDrawdownが最も低くディフェンシブでありながら、パフォーマンスがいちばん高い。総合的には基準価格ランキング上位7位までのセクターETFを均等に持つのが安定はしそうかも。

SPYと基準価格ランキング上位7位までのセクターETF均等保有の1999年から2022年の比較結果。SPYに対して、リターンで34.65%高く、BestYearで0.67%高く、WorstYearは3.31%低く、MaxDrawdownは5.27%低い。

という結果でした。おつかれさま。

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