おねがいJEPI!サンタとかいう即効性のある処方が使えない庶民が自らにかける魔法。

おねがい!配当ETF

だってサンタ来ないし・・。社会人なら事前に遅れることを連絡するべきだと思うんだよ。いや、それ言ったら何年遅刻してるねんって話になるのだけれど。

むしろ逃亡してるとしか。

ブラックなんだろうな。サンタの職場。夜中にソリで配達業務とか。地獄か・・。

で。何事もなかったように経緯を説明すると。せっかくクリスマスなのでお星さまつながりでサテライト戦略のことでも考えようかなって。(びょいんびょいん。

今回は、サテライト投資にJEPIのことを考える。そんなお話。

memo

グローバル5.5倍バランスファンド(1年決算型)20221225
基準価額:6,580円 / 前日比(円)-148円 / 前日比(%)-2.2% / 純資産総額72.48億円

日経平均:26,235.25円 / ドル円:132.77円

ダウ平均:33,203.93 / ナスダック総合指数:10,497.86 / S&P500指数:3,844.82

be careful

この記事で書かれている内容はトワナナさんの感想です。間違いがないよう注意を払っておりますが、それでも事実と異なる内容が含まれているかも知れません。また、特定の商品をお勧めする意図などはありません。(詳しくは、免責事項とPrivacyPolicyを参照下さい。)

「そうなんだー」くらいの肩の力を抜いた状態で、たのしんでいただければ幸いです。

What is JEPI?

JPMorgan Equity Premium Income ETF(ティッカーJEPI)って、どんなETFだっけ?というとこんな感じ。

JPMorgan Equity Premium Income ETFとは

・米国の大型株と、オプションの売却を組み合わせたポートフォリオ
・株式の配当金と、オプションプレミアムを原資とした毎月分配(を目指す)
・株式は独自のリサーチと分散された低ボラティリティ銘柄でポートフォリオを構築
・主ベンチマークはS&P500インデックス

S&P500指数よりもボラティリティを抑えたキャピタルゲインと、毎月配当のインカムゲインが合体したETF。

この辺りは以前記事にしたこともあるJPMorgan Nasdaq Equity Premium Income ETF(ティッカーJEPQ)と近い作り。

JEPQの話題が出たので、雑に要点をまるめると。JEPIが株式部分をS&P500指数から作るETFで、JEPQが株式部分をNASDAQ100指数から作るETF。

この姉妹ETFが特徴的なのはインカムゲインの部分。

JEPIがベンチマークにS&P500指数を用いて、JEPQがベンチマークにNASDAQ100指数を用いる場合。JEPIの方がインカムゲインが高いと考えられる。新興企業が多いNASDAQ100指数の銘柄は配当を出さない企業が多いから。

で。ちょっと比較してみよう。例えばこの4つのETFで比較。

ETFティッカー補足情報
SPDR S&P500 ETFSPYS&P500指数連動を目指す
Invesco QQQ Trust Series 1QQQNASDAQ100指数連動を目指す
JPMorgan Equity
Premium Income ETF
JEPIベンチマークとしてS&P500指数を採用
アクティブなポートフォリオ
JPMorgan Nasdaq Equity
Premium Income ETF
JEPQベンチマークとしてNASDAQ100指数を採用
アクティブなポートフォリオ
キャピタルゲインとインカムゲイン比較のためのETFラインナップ

まずは配当利回りの比較。数値は今日時点のBloombergの値。

SPYの配当利回り 1.86%
QQQの配当利回り 0.98%

JEPIの配当利回り 13.28%
JEPQの配当利回り 15.85%

株価指数連動のSPYとQQQを比較すると、S&P500指数に連動するSPYの方が配当が高い。ここまでは想像通り。ところがJEPIとJEPQはS&P500指数をベンチマークとするJEPIの方が配当利回りが低い。

なして逆?というと、ここにプレミアム・インカムETFの作りが影響してくる。

JEPIの「米国の大型株と、オプションの売却を組み合わせたポートフォリオ」の説明文の「オプションの売却」の部分は、オプション取引を指す。

オプションの価格は「ボラティリティ」と「期間」に大きく影響を受けるため、荒れる相場ほど値があがる傾向があって。

株価が大きく動けば動くほど高いオプション収入になる。結果として、NASDAQ100指数をベンチマークとするJEPQの方がインカムゲインが高いことになる。

ただ、キャピタルゲインは株式の価格に影響を受けるため、JEPIとJEPQの上下は逆転してしまう。(あとは市場価格なので人気がある方が高くはなる)

SPYの価格 382.91USD
QQQの価格 267.36USD

JEPIの価格 55.18USD(SPYの14.41%)
JEPQの価格 41.35USD(QQQの15.33%)

何となく主ベンチマーク先の価格と比率を計算してみた感じ、それなりに理由がある値付けにはなっているのかな。

次は、JEPIの組み入れ資産のセクター比率。

セクター比率(%)
Health Care13.0
Consumer Staples12.0
Industrials11.8
Information Technology10.8
Financials9.6
Utilities8.5
Consumer Discretionary4.8
Communication Services4.6
Materials3.5
Real Estate.2.8
Energy2.7
Other14.8
Short-Term Investments1.2
JEPIの組み入れ資産のセクター比率一覧

低ボラティリティがよく表れているセクター構成。ちょっと金融が高い位置にいる気もするけれど。JEPIはアクティブ運用なので、いまは逆にポートフォリオが安定することを期待してこの位置なのかも。イナズマ戦隊ことエネルギーセクターはやっぱり的なポジション。

Otherというのがこの後に出てくるELN。あと、短期債も入ってるのは・・、調整用?

最近調べてみたのだけれど、キャピタルがほぼリターンなしで配当が気持ち貰える低リスクなJPMorgan Ultra-Short Income ETF(ティッカーJPST)というETFがあったから、それかも。楽天さんでも先月か今月に取り扱いが開始されてたような気がする。

What about low volatility?

んー。主ベンチマークがS&P500指数で低ボラティリティというお話だけれど、パフォーマンスはどうなるのだろう。やっぱりS&P500に劣るの?というとこちら。

この記事で掲載しているスクリーンショット画像はSilicon Cloud Technologies社Portfolio Visualizerの画面をキャプチャしたものです。

でん。

SPYとJEPIのチャート比較

チャートはSPYとJEPIを比較したもの。比較期間は2021年から2022年の間。この期間は割と健闘しているけれど。JEPIが最近運用を開始したETFなので、好景気だと抜き去られそうにも見えるかも。

ただ、低ボラティリティは伊達じゃない。

WorstYearがSPYの▲13.17%に対して、JEPIは▲1.58%って、8分の1以下!すごい。MaxDrawdownもSPYの▲23.93%に対して、JEPIは▲12.99%。約半分。カチカチだー。

うーん。それならそれなら。

米国のメジャーな御三家高配当ETFのVanguard High Dividend Yield ETF(ティッカーVYM)とiShares Core High Dividend ETF(ティッカーHDV)、SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF(ティッカーSPYD)を含めて軽めに比較してみたら?

ティッカー運用会社価格
(USD)
配当利回り配当時期運用開始純資産総額
(億USD)
VYMVanguard108.293.60%年4回11/16/2006495.08
HDVBlackRock104.284.39%年4回3/31/2011126.35
SPYDState Street39.625.12%年4回10/22/201578.58
JEPIJP Morgan55.1713.28%毎月5/21/2020173.34
JEPQJP Morgan41.3515.85%毎月5/3/20229.61
米国のメジャーな高配当ETF比較一覧

並べてみると、VYMの人気とJEPIの急伸が目に付く。どこだったか忘れてしまったけれど、JEPIの純資産総額が米国高配当ETFで2位と聞いたことがあって。

うそだーと思ったら本当だった。ゴメンナサイ。

But I don’t know if I can believe

純資産総額はHDVの11年間を僅か2年で追い越し、配当利回りはいちばん人気のVYMの10%越え。数字だけ並べたら全資産オールインしたいなーってお気持ちにも。

労働解放だー!みたいな。

でも。

思っても実行できるひとはいないのかなって。

理由はたぶん。JEPIを信じられないから。JPモルガン・アセットマネジメントを信用できないから。

身も蓋もないけれど。うーん。でも多かれ少なかれそんな感じの結論で。

えー、じゃあトワナナさんもJEPIは買わないのー?といえば。「はい」の反対はいいえ!

ここにきて本題。

JEPIが信じられない理由と、何となく「あ、そうなんだ」って思ってしまいそうな。そんな役に立たないお話はじまり。

JEPIが信じられない内訳

・仕組みが普通じゃない
・現在の配当利回りが維持されるかわからない
・大きなショックが来た時に償還されるのではないか不安
・JPモルガンってわるいことしてそう(←しつれい

上からトワナナさんの見解をまとめていくと。

まず「仕組みが普通じゃない」点。たぶん、これがいちばんJEPIの叩かれポイント。

JEPIは基本的に資産の80%を現物の株式で保有し、残りの20%を仕組債(ELN)に割り当てるポートフォリオ。

最初にELNの配当利回り負担分を計算してみる。

SPYを株式の配当利回りの基準に考えて計算

SPYの配当利回りは1.86%。つまり株式100%なら1.86%の配当と仮定。
JEPIの株式比率は80%なので、株式80%として計算。
1.86 × 0.8 = 1.48(株式80%分の配当利回りは1.48%)

JEPIの配当利回りは13.28%なので、先ほどの株式80%分の配当利回りを引く
13.28 – 1.48 = 11.8(JEPI上の株式が負担する配当利回りを引いた残りは11.8%)

残った11.8%はELNが負担する配当利回り。
JEPIの配当利回り13.28%の内、ELNが負担する配当利回りの比率を求める。
11.8 ÷ 13.28 × 100 = 88.85

ELNはJEPIの配当利回りの88.85%(約9割)を負担していることがわかった。

むう。

これはS&P500指数に沿った計算なので、アクティブ運用のJEPIの株式の配当利回りが一致するわけではなくて。

次に、比較対象を同じくS&P500の銘柄から高配当な株式を80銘柄均等保有する、SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF(ティッカーSPYD)を使ってみる。

SPYDを株式の配当利回りの基準に考えて計算

SPYDの配当利回りは5.12%。つまり株式100%なら5.12%の配当と仮定。
JEPIの株式比率は80%なので、株式80%として計算。
5.12 × 0.8 = 4.09(株式80%分の配当利回りは4.09%)

JEPIの配当利回りは13.28%なので、先ほどの株式80%分の配当利回りを引く
13.28 – 4.09 = 9.19(JEPI上の株式が負担する配当利回りを引いた残りは9.19%)

残った9.19%はELNが負担する配当利回り。
JEPIの配当利回り13.28%の内、ELNが負担する配当利回りの比率を求める。
9.19 ÷ 13.28 × 100 = 69.20

ELNはJEPIの配当利回りの69.20%(約7割)を負担していることがわかった。

あまり変わらなかった気もするけれど、つまりはELNは、JEPIの配当利回りの中で7割から9割を負担する必要がある。

ここがポイント。ELNはJEPIの配当利回りの大部分を占めていて。ELNの稼ぎがないと、JEPIの配当は1.48%から4.09%ぐらいに落ち込んでしまうことが想像できる。

そして、JEPI公式の資料にはこういった文言がある。

「毎月分配を目指しますが、必ず分配を行うことをお約束するものではありません」

文章そのままで理解するのであれば、JEPIは無配でもルール違反にはならない。厳密には株式部分の分配はあると考えられ、ELNが死んでしまっても配当を出そうと思えば出せるのかも知れない。

何を整理したかったのかというと、JEPIはELNが稼ぎを出せば配当を維持できる。ELNが稼ぎを出せなければ配当を維持できないけれど、ルール上は「配当を出さなくても」違反ではない。

なので、タコ足配当の投資信託のように資産を再分配し、資産価値が落ちていく心配はしなくていい。

What is an ELN?

で。ELNって結局何なのさというと。

EQUITY LINKED NOTES(ELN)とは

ELN(株式リンク債)は債券と株式のパフォーマンスに関連するオプションのリターンを組み合わせた投資商品。ELNは通常リンクされた株式のパフォーマンスに依存する変動金利部分で初期投資を返還するように構成される。

えーっと。これでわかれというのもエスパー度が高いので、トワナナさん的にかみ砕いて説明。

ELNとは「債券」と「株式のオプション」取引を組み合わせたパッケージ商品のこと。

債券は期日に対して利息が付くので、ここの債券部分で元本(初期投資)を回収し、債券の利息で補われる部分で株式のオプション取引を行い、勝てばプラスで負けても元本保証の仕組みを実現する。

例えばこんな感じ。

1,000ドルの5年株式連動債の例

・資金の800ドルで満期利回り4.5%の5年先物ストリップ債を購入
・800ドルを年利4.5%で5年運用すると996.9ドルになる(ここで元本を保証)
・資金の200ドルをS&P500のコール・オプションに投資
・コール・オプションで利益が出ればプラスリターン、出なければ元本が変化なしで戻る

何となくELNが見えてきた?

Let’s finally sort it out

というころでJEPIが信じられないに話題を戻すと。

1つ目の「仕組みが普通じゃない」点に関して。

その大部分はELNへの不信感なのだろうなって想像していて。ELNは金融業界で流通する一般的な商品なので、調べれば情報はあるし、黒装束の集団が怪しげな呪文を唱えていたりもしない。株式証券や債券、オプション取引を改めて説明しないように、ELNへフォーカスして改めて説明をしていない。その点が不信感につながっている。

一般的な投資家にとって聞きなれない言葉だから。

ただ、公式はELNを使っていることも、どこのELNを使っているかも、その比率もリターンも全て公開されている。(英語だけれど公式に資料がある。今はカナダのELNがいちばん多いみたい。)

わからない、むずかしいという感想を持つのはもちろんよくて。

でも、ELNは損失を出さないように構築されていて。それはお客を騙そうとして仕組まれているというよりは、損が出ないように配慮をしているともとれないかなって。

まー、売り上げ悪かったらとっとと償還するかもしれないけど。

続き。

2つ目の「現在の配当利回りが維持されるかわからない」に関して。

これはどこのETFとも同じ。維持される保証なんてない。他のETFと同じように過去の実績などを見ながら想像したり、納得するのがよいのかなって思う。

ELNを使用しているという観点では、ELNの売り物が出てこない事態になるような金融危機が起きると配当利回りが下がっていく可能性はあるのかも。

JEPIは毎月分配だから、怪しい挙動には早めに気づけそう?かなって思う。

更に次。

3つ目の「大きなショックが来た時に償還されるのではないか不安」に関して。

先に強靭な下落耐性があることはチャートからわかった。でも、うーん。これってたぶん4つ目の「JPモルガンってわるいことしてそう」と根っこの部分は同じ課題なのかなって。

つまりは運用会社への信用がない。

運用を行うJPモルガン・アセットマネジメントは米国最大手の歴史が長い銀行グループの投資部門だそうなので、そこを信頼できるかどうかという点。(Wikipediaみると悪いことしてるなーって感想を持つけれど。うへー。)

これはトワナナさんの感想で。

資金が豊富で金融取引手段を多く持つ大手銀行グループだからELNの利用を提案し、ETFとして立ち上げることができた。それって否定したり拒絶する理由にするのはもったいないことじゃないかって。

かつて株価指数を扱ったETFが作られた時ように。一般の投資家向けにETFが販売された時のように。セクターに特化したETFが作られた時のように。ETF of ETFsが作られたように。新しいチャレンジの形として。

否定から入らずに見守ってもよいのではないかなって。(無理して購入しなくてもよいのだしね。

また、JEPIが自社の名前を冠したETFであること。米国の高配当ETFとしてトップのVYMを追撃出来るくらい純資産が育ってきたETFであること。これらは運用会社がETFの運用を続けるメリットで。ETFを購入する者の利益にも大きく影響する要素ではないかなって。

最後に強引にまとめてしまうと。

そんなこんなを都合のよい思惑をひっくるめて。サンタ待ちの投資家さんは、おほしさまに願うのでした。(せかいがばくはつしてもJEPIはばくはつしませんように。)

おつかれさまでした。

Have a Merry Christmas with your family and close friends.

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